人類には基本的に…

鼻の大きな男は…という俗説があるけれども、私は、口の大きな男は案外そうではないかと考えているのだ。

生殖器官は要するに内臓なのだから、腹部のどこにあったってべつに構わないのだが、消化管を作る際に、どうせならいっしょに作っちまおうと「自然」は「考えた」わけだ。

精子の働き具合にあわせて精巣が体外に出たというのもよく聞く話だが、あるいは逆に、偶然によって体外に出てしまったから精子がそのように変化したのかもしれないではないか。どちらにしろ哺乳類における話だから、たかだか2億年ほどの話である。

芥川龍之介が大きかったというのは一部で有名な話だが、痩せた人や背の低い人がそうだったりするとわりとショッキングである。あるいは個体差が著しいため、人類文化の早い段階で隠して生活することに決めたのか。芥川の口は…、大きいという感じはしないが、唇は厚いようだ。

石原裕次郎勝新太郎は立派な鼻をしていたが、それほどでもなかったそうなので、これは私が鼻説を疑う根拠のひとつである(といっても見たわけではないのだからいいかげんな話である)。

消化管の端末の剰余が生殖器の形成に回されるのではないかと思っているのだが…。