『ウラニウム戦争』

 「ウラン その発見と研究、そして利用の歴史」とでも題したいような本。キュリー夫人などの偉人伝的科学者群像と、20世紀前半の量子力学研究熱、原爆開発をめぐる自由圏と枢軸側の暗闘、戦後の核開発と原子力利用、と幅広い内容を扱っているので、とりあえず原子力の歴史について一瞥したいという私のニーズにぴったりの内容だった。

 プルトニウムを、山岸凉子が「パエトーン」で怖がってみせていて、まあたしかに猛毒だが、プルトニウムという名は、冥王星の発見にちなんでつけられただけである。ウラニウムも、そう(天王星)。アインスタニウムを吸引するとアインシュタインのような天才になれる、わけではない。

 ウラン鉱石を採掘していた土地の名前にちなんだ銀貨の呼び名が、ドルの語源だったというのはちょっとした豆知識であるか。


ウラニウム戦争 核開発を競った科学者たち

ウラニウム戦争 核開発を競った科学者たち