『攻殻機動隊 3D』

 普通のアクション刑事ドラマとして面白かった。傀儡回しって、要するに人形使いのことだし、このシリーズはえんえんとおなじダンジョンを回っているようなものか。手を替え品を替え……。

 田中敦子山寺宏一たちは、もう15年以上、2032年付近をぐるぐると滞留しているんだなあ……。15年って、ルパン三世の第1シリーズから第3シリーズまでの長さに等しい。

 たしか『イノセンス』も草薙失踪後2年後の物語だったと思うから、押井守版のシリーズから完全に分岐した世界の話、パラレルワールドということになるのだろう。神山版は、これはこれで面白い。

 ジョン・ウー作品のように銃を向けあう草薙とバトーや、わらわらと彼らに迫る白い警備ロボットの集団など、ちらほらと押井守版に言及しているのも楽しい。

 世代交代と原点回帰がかくれたテーマにあるようで、ダニエル・クレイグ版の007など最近のスパイものの潮流に、たまたまかどうか知らないが合致している。草薙とバトーがトグサに期待を寄せるラストシーンににやにやしてしまう。

 そして本筋のほうの黒幕は、『ゴースト・イン・ザ・シェル』の人形使いの応用というか変奏なわけだが、これはあれかね、自分が過去に書いたブログ記事に影響を受けた奴が、相手がその作者だとしらずに論争をしかけてくるような、そんな感じなのかね。

 因果関係の不思議。システムをつくることこそ、生死すら忘れさせる最高の快感なのか。神山健治があれやこれやと試行錯誤して、新宿バルト9に載っけたシステムに乗っかって、私もまた何かを喋っているわけだ。