『歓待』へお越しやす

 東京国際映画祭の受賞作、深田晃司くんの『歓待』が、とうとう今日から公開だ。

 なんだか懐かしいような下町の印刷工場(こうば、と読んでください)が21世紀にも息づいていて、現代風に異化されたホームドラマが演じられる。

 ベタな映画なのかと思えばさにあらず、監督の自分勝手な演出がちらほらするし、どうも一筋縄ではない。せっかくロケ地を提供してくれた商店街にたいして、恩を仇で返している? いや、そういうわけでもない。のらりくらりとした、不思議でブキミな深田ワールドを堪能してください。

 これは自主映画、最近の自主映画らしい自主映画にたいしての批評なのか? と思えるくらいに、いわゆる「最近の自主映画」とは一線を画している。あと、わりに大きな芸能プロが地方でロケしたビデオ映画がありますよね? ああいうのとも『歓待』は似ていない。とにかく独特の感触なのだ。

 こういう「感触」が増えていくのなら、このデジタルな映画製作環境も、捨てたものではないなあと、なんだか感慨深い。とにかく、観た人の感想を聞いてみたい。そう思わせるテン年代の秀作です。劇場で、是非!

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