こんどは『喜劇』

3月のはじめに深田くんの『歓待』についてこのブログで触れたのだが、私ごときが心配する必要もないくらい海外ではウケて(私の予想をはるかに超えて反響が広がっている)、国内でもけっこうな数の人がこの作品を観たようである。


余勢をかって、深田くんの前作『東京人間喜劇』が私の職場のちかくで公開ということになった。まあみればおわかりいただけると思うのだが、事件や心理をとりあつかう監督の手つきがダークきわまりなくて、そして妙に朗らかというか天真爛漫なところもあって(「にぎりっぺ」のくだりとか)、稀有な才能としかいいようがない。これで『ざくろ屋敷』の監督でも深田君はあるのだから、かれが青年団という劇団と出会ったことの幸運の深さを思う。『ざくろ屋敷』といえば、深田くんのアニメへの思いについてのフォローはまだ活字にもウェブにもなっていないようで、自身のエヴァ破批判だけが宙に浮いている様子なのだが、さてさて彼の関心の方向は多彩ですよ……。


妙な言い方かもしれないが、『歓待』は受けるのがわかっていて、そして受けた作品という印象があるのだが、『東京人間喜劇』は受けてほしい作品なのである。この不思議によこしまな世界への視線を、ぜひ劇場でうけとってほしい。


http://human-comedy-in-tokyo.com/