珍妙な保守評論家として再ブレイクすることになる戦前の思想家黒田英之輔のひとり娘まゆみと、そうとは知らずにつきあいはじめた新進翻訳家の塩谷実は、晴れて結婚することになるのだが、黒田の姉が家名に拘って塩屋は自分の姓を黒田に変えることを要求され…
昭和四十三年発表。三島事件の二年前だ。林房雄を筒井康隆風にカリカチュアライズした前半は、ただただ楽しい読み物といった印象だが、後半に不気味な右翼青年が登場してくる。後のオウム事件の教団幹部の名前に「偶然一致」した名前を持つこの青年は、自分…
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