アレクサンダー・バークレー監督作「ゾディアック」

フィンチャー監督作より数年前に発表されたゾディアックもので、フィンチャーの映画に影響を与えている画面のルックがいくつかある。ダム湖の描写とか。

バレーホ郡が田舎だったという感じは、こっちの作品のほうがよく出ている。

バークレー監督版は、バレーホ郡の刑事が主人公という設定で、彼がゾディアックを捕まえられないまま、ゾディアックの犯罪が郡外にまで延びていってしまう…という時点で物語は幕になる。

こちらの主人公夫婦も、ゾディアックへの恐怖や、すすまない捜査へのストレスがもとで、夫婦仲が悪くなるという展開になる。ここらへんもフィンチャーの映画に似ている。

フィンチャー版にも筆跡鑑定士役で出てくるフィリップ・ベーカー・ホールが、バレーホ署の署長役で出てくる。主人公の同僚の刑事が、フィンチャー版のリー・アレン役の役者に似ていて、おっ、と思ったが、別人。

フィンチャー版でも図版ででてくる映画「猟奇島」は、こちらでは犯人が見ている映画として画面にちらりと引用される。

フィンチャーの映画の85分の1の予算でつくられた映画らしいが、セリフなど型どおりすぎて硬い印象もあるが、なかなかどうして、ちゃんと面白い映画になっているとおもった。

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