精神病とことば
語彙が豊かであることは、幸福なのであろうか?
駄洒落というのは、要するに、一瞬だけ言葉の機能を無効化することである。それが無為なことで、その無為から発する多幸感を押し付けられるような気がして、駄洒落を言われた側は、時には駄洒落を言った人間を迷惑に思うことがあるのである。
言葉にたいするひそかな嫌悪が、健常者にはあるのではないか。
人間というのは、食事と運動と休息と適当な他者との交流があれば、それで充分生きていけるものだから、過剰な言葉や文字というのはストレスでしかない。
言葉の世界にリアリティを感じて、現実世界にリアリティを失ってしまったら、それは要するに狂ったということだ。