映画狂にとってのスピルバーグ、映画狂が世界を征服しているという幻想

ああ、タイトルで言い切ってしまった。でも、そういうことだよね…。

それは確かにスピルバーグ(1946年生まれ)は映画狂で、映画館に入り浸っていたが、それだけではハリウッドのスター監督でいつづけられないのである。ピーター・ボグダノビッチ(1939年生まれ)がスピルバーグに先んじて成功し、しかし失墜したのと、スピルバーグの歩みは好対照である。

要するに宇宙人という戦後世代のオカルトと、世界平和という子供じみた現実遊離の理想を信じることが、80年代のハリウッドで成功するために必要な宗教であった、ということなのだ。このことに、映画狂であることは、悲しいかなあまり関係はないのであった…。

(追記:まったく主観的な感想だが、「ジュラシック・パーク」を見ていると、まあそれが分別盛りである40代なかばの人物の演出であるとはいえ、スピルバーグは宇宙人ほどには恐竜を「信じて」いないように感じられるのだ。絶滅したとはいえ、恐竜の方がかつての現実だったというのにね…。)