世界はお前を必要としない! といわれて観客はおのれのマゾっ気を刺激される…

これは試写会で見たときから思ってたことだけど、『ダークナイト』のキモはそういうことだと思ったんだけどね。監督は、観客にも、自分にも、そういうメッセージを叩きつけている。世界はお前を必要としない! って。過去の作品歴からあきらかに(といっちゃいけないのか)ゲイであるとおもわれるクリストファー・ノーランによる、渾身の世界観の吐露が『ダークナイト』なんじゃないの、と。

自分(バットマン=ウェイン=ノーラン)がビクンビクンするために、ゴッサムシティ住民を、レイチェルを道具にしてしまったクリストファー・ノーランに、私は「気持ちはわかるけど、もうちょっとうまくやれなかったのかい…」と思ってしまうわけ…。

アメリカでリピーターが続出して『ダークナイト』が大ヒットしたのは、こういうのに飢えてた奴らが飛びついたんだろうなあと私は思うし、日本では「暗い」「長い」と観客がおもって、公開前の予測どおりにそれほどヒットしなかったのも、日本にはそういう需要があまりなかったということだ。