はしゃぐマンガ

手塚と杉浦茂は、はしゃいだ感じを得意とする漫画家の双璧だろう。この対比からは、偶然だが、大阪人と東京人のノリの違いさえうかがえるようだ…。

これは、みんなどう思っているか知らないが、手塚は、漫画家になりたくて漫画家になったはじめての人、あるいは世代だったのではないかと思うのだ。それまでは漫画家というのは、画家のアルバイトだったり、ものにならなかった画家がなるものだと思われていた。太宰治の『人間失格』でも、漫画家はずいぶんな扱われ方をしている。これも、とくに太宰が漫画家に偏見をもっていたわけではないだろう。

too muchな感性を抑えずにそのまま出したことが戦後漫画の出発点ではなかったかと思うのだ。手塚のパノラマや、杉浦のナンセンスというのは、いかにも戦後的な活気を感じるのである…。