ミドルティーンの性への魅惑と脅え

百均で買った『ツイン・ピークス ローラ・パーマーの日記』(リンチの娘が書いてる)が面白かったのである。

デビッド・リンチの映画の登場人物は、そういえばミドルティーン性が横溢しているというか、成長しない。ローティーンの無邪気な成長への憧れとか、ハイティーンの大人に移行する際の責任感の芽生えとか、どちらもない。同世代でともにベトナム戦争を逃れたスピルバーグと、そのピーターパン性において好一対である。また、スピが性を描くことを避けたがるのにたいして、リンチは過剰に性を描く点でこちらは好対照である。

ワイルド・アット・ハート』のニコラス・ケイジもまるで図体のでかいミドルティーンで、その逃避行にはなんの戦略もないのである。これは役者の地でもあったようで、『ワイルド…』から15年以上たっても、まだ『ゴーストライダー』なんだから、これはリンチの見る目があったというべきか…。

ロスト・ハイウェイ』のビル・プルマンは、一見成人した大人のようだが、どんな生活をしているのか、リンチには具体的な描写ができないのである。自分自身が大人ではないから…。

ビル・プルマンは、ぱっと見、カイル・マクラクランに似ているようだが、カイルに比べて自然な中年らしさがそなわっているので、リンチ世界にはミスマッチなのだ。カイルがガハハ系の業界人を演じた『ショーガール』など見ると、ピーターパンが無理をして中年を演じているようで、こちらもミスマッチ。ビル・プルマンが『ショーガール』に出て、カイル・マクラクランが『ロスト・ハイウェイ』に出るべきだったのである…。