善も悪も世の中で何の役にもたたない

善が役に立たなかったように、悪もまたなにも世界を動かさなかった。悪ぶることは、なおさらである。善も悪も、他人と繋がるための誘惑の白い粉でしかなかった。しかし、悪ぶることに意味を感じてしまっていたのだ。私は、今日、その憑き物がいきなり、落ちた。いまわたしは困惑して世界を眺めている。これがあるいは大人の見る風景というものなのか…。