『デス・レース』

原典のラリーから、ラップ競技へとレース形式が変わって、原典の肝である「通行人を轢殺してポイントを稼ぐ」というルールがなくなってしまった…。

しかしけっこう面白かったのである。

人の死で視聴者を釣って、集めた関心がさらに人の死にフィードバックされる構図は、最近の映画『ブラックサイト』と同じだ。

原典の細部をもう忘れてしまっているのだが、今作はいろいろと拾ってアダプトしている様子である…。原典のラストでレポーターを轢殺するシーンを、今作ではパラボラアンテナを爆破して倒壊させるシーンに置き換えていて、正直物足りないが、まあ今風ということだろう。あと、レース後に裏で喧嘩するのは原典にもあったような気がするのだ…。

刑期を終えているのに外の世界に馴染めないからという消極的な理由で出所しない初老の男(こういう男を養うためにもデスレースが必要なわけだ。資本主義の悪循環…)が、刑務所長を殺すという展開は、主人公の代理であるということはわかるが(伏線も張っている)、ちょっと安易である(感覚的にしっくりしない)。所長は、偶然の連鎖かなにかでコミカルに殺す方がよかった。