『ユージュアル・サスペクツ』
10年ほど前に見たものを再見。
私の頭には、ちょっと難しい。どこまでが事実なの? ケビン・スペイシーを尋問するチャズ・パルミンテリのほうにも、元刑事のガブリエル・バーンに対するこだわりがあるわけで、犯人が提示する嘘と、パルミンテリの思い込み(こちらだって映像化されるのだ)と、事実との、それぞれの区別が私には判然としないのだ。
埠頭の、ロープを巻いた杭にカメラが寄るのだって(前半と後半とで二度くりかえす)、つまり、その向こう側にいるはずの目撃者の目元が映らないのだって、目撃者が実際にはそこにいなかったという表現なのだろうけれども、そんなところだけ、へんに律儀になられても...
この物語のキーは、犯人ではなく、尋問するパルミンテリのほうなのだ。犯人は、柔よく剛を制すというか、パルミンテリの思い込みを利用しただけなのだから。かなり最初のほうで、ガブリエル・バーンの性格がいきなり変わる。ここで10年前の私は、ぎょっとしたわけである。「これにつきあえっての?」と。
『ブレアウィッチ2』のテーマは、「ビデオ映像を信用するな!」というもので、これはわりと「よくわかる」けど、『ユージュアル・サスペクツ』の主張は、「話のうまいやつを信用するな!」というわけで、こちらとしては「え、そりゃそうでしょ...」とうなずくしかない。私が、あんまりミステリーになじめない、もっといってしまえば文学になじめない理由は、このあたりにあるのかな。
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