『失われた肌』
「男の映画」の傑作。主人公はイケメンで、小才が利く男なのだが、こういう男がふと出来心で離婚して生活をあらためてみたらどうなるか。
こういう男はけっこういそうだ。自分で自分を律することができないから、逆境に遭遇するとすぐ切れるし、生活が荒れてしまう。
女にあわせて生きているわけで、自分が女になにを求めているのか女に伝えない。女が考えてくれるだろうと勝手に思って生きているから、雲行きが怪しくなってくると「何で?」って思うばかりである。主役の男が連発する不審げな顔がいい。
もとの鞘にもどって大団円? そんなわけはない。なんだかやだなあと思って、男はまた逃げてしまう。