映画は孤独をどう表現するか

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よくできているのだが、怖くはない。なぜ怖くないかというと、殺人鬼がどういう家庭環境のせいで心が歪んだかという理由付けと、なぜ人を殺すのか、誰のために行動しているのか、という目的の説明を明確にやりきってしまっているからである。

ホラーとしては、それほどではないわけである。悪霊の恐さではなく、猛獣の恐さなのだから。サスペンスとしても、原典のほうが気が利いているように思うし(ガレージのシーンが、このリメイク版にはない)。

とはいえ、よくできていると思うのである。説明しちゃっている映画というのも、嫌いではないのだ。その説明も、ちゃんと描写に昇華しているし。ある程度以上の予算がついた映画を見るという、目の楽しみが満たされる面もある。ダニー・トレホがしょぼくれた用務員を演じるという逆転の発想もいい。

しかし、映画が孤独を表現するというのは本当に難しいもんだなとあらためて思うのだ。映画の前半に、マイケルがひとりで小動物を虐殺したりしているのだが、そんなに寂しく見えないのである。映画というのは、本質的に、見ているほうが孤独になるメディアだからである。すくなくとも、マイケルには殺す対象としての小動物がいるけど、観客はそういうマイケルを見ているしかないわけだから。こっちのほうが孤独だっての。