都会の子と田舎の子、郊外の子

本当に都会の子だったら、だいたいの仕事はひととおりできるはずなのだ。できないことはすぐできませんというだろう。

養老先生が『逆さメガネ』で言ってた「メスの握り方がまちがっている子」というのは、郊外育ちの子だったのではないか。

郊外育ちの子は、できないことについて教えを請うことができない。親が働く様子をみて育っていないから。

農村も都会も、実用の場なのである。日本は昔から、実用一辺倒になることへの忌避があった。それが明治になってから産業化のちからにめぐまれて「郊外の宅地化」というかたちに結実したのだ。

重要なのは都市化ではなかった。宅地化だったのである。そう思えば、いまの社会の流れは都市化ではなく、宅地化だったのだということにおもいいたる。