『トリコロール 青の愛』

知識と希望と愛があるとしたら愛が他より優先する。まあ、たしかにそのとおりだと思う。すでにそこにあるものを信任しないと何もはじまらない。知識が過去、希望が未来としたら、愛は現在というところか。

事故によって、主人公は社会に確固とした地位を築いている夫と、子を同時に失う。過去と未来を剥奪されたわけである。ストレスと葛藤を経て、主人公が現在に落ち着くことを受け入れるまで。

マンガで人物の衝撃を表現するのに「ガーン」という描き文字をつかうが、この映画には、その映像版ともいうべき表現がある。数秒の黒味を同ポジの映像のあいだに挿入するのだが、これは、ちょっと異様で面白い。「目のまえがまっくらになりました」。

最後の、マットの見た目映像も、これまた異様である。

トリコロール/青の愛 [DVD]

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