天皇の伝統?
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現行憲法は明治憲法のリライトで、先代の憲法よりもさらにリベラルになったから、これはこれでよいと思うのだ。人権主義や平等主義にあくまで忠実であろうとすれば、少年法だって理念に反しているだろう。細かい訂正は次の憲法のときにすればよいと思う。
明治憲法は、四民平等を実現し、しかし華族を設け、国民皆兵を強いた。昭和憲法の下にある目から眺めているから、どうしても悪い憲法にみえてしまうが、徳川時代しか知らない目からすれば開明的に見えたかもしれない。
なぜ天皇を「法の下の平等」に置かなければいけないのか、それこそ「わからない」のだ。国体は、ここ六十年の歴史が示すようなかたちで「護持された」というだけではないのかと思う。伝統を守れなどというな、と思うのである。明治万歳って言えよ、と思うのである。天皇の伝統なんて別にないよということを、もう私は上の本で知ってしまったのだから。
終戦時の指導者たちが国体の護持を叫んだのは、要するに明治憲法を否定されると自らのよって立つアイデンティティを失ってしまうからだ。それは自分の命よりも大事なものだった。
当為と実情という区別の基準は面白い。明治政府の「当為」を「実情」のレベルまで貫徹させようとしたのが二・二六事件だったのかも、などと空想がひろがる。
王朝時代の天皇が伝統なのか、鎌倉・室町期の天皇が伝統なのか、戦国期の天皇(悲惨だったようだが)が伝統なのか、徳川期の天皇が伝統なのか、明治期の天皇が伝統なのか、さあ、言ってみろ、と思うのである。