『美人好きは罪悪か?』

美人好きは罪悪か? (ちくま新書)

美人好きは罪悪か? (ちくま新書)

恵美押勝の反逆の理由が本当は光明皇后にあったのに、それは皇統の乱れを証すスキャンダルなので、娘である孝謙天皇の過失(心離れ)であるかのように北畠親房は事実をねじまげたのだという説が述べられている。とはいえ、光明皇后は事実上の天皇だったという表現は、瀧川政次郎もそこまでは言っていないようだし、それだったら道長だって十分事実上の天皇だったのでは? こっそりとする易姓革命なんてないわけで。北畠は、瀧川がうっかり口をすべらしたように、女性蔑視の立場から無意味な作り話をしたまでと思える。