『美人好きは罪悪か?』
- 作者: 小谷野敦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/06
- メディア: 新書
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日本人がピューリタン的になりつつあることに、小谷野さんは警戒心を持っているようで、幼児ポルノについて論ずるあたりにそれがよく出ている。私もそうなのだが、幼児ポルノ的な表現は持っていない方がいいという感覚は、要するにナルシシズムなのである。自分の心の状態を世間と同期していたい。べつに小谷野さんはそんなこと思ってもいないわけで、だから「なになにで悪いか?」とよく言われるのだ。
性的であることへの執着とか、賛美とかが表現しづらい、し甲斐を感じないというのが時代思潮になっていると感じるが、だからこその美人作家ブームなのかなとも思うのだ。桜庭一樹の顔、いま検索してはじめて見たくらいだし(水商売顔か…)、まあ、興味ないのだ。
江戸時代は、後半は資源不足が始まっていたそうで、島国で侵略されにくく、鎖国してたから情報すら入らないので、そういうこともあり得たのだろうが、日本人には鬱病っぽいところがもともとあるのではないか。終章の小谷野さんのいい分にはちょっと疑問を感じるのである。去勢されてるのは、女もだろう、と。要するに互いの性に幻想を重ねないで遠慮しあって生きてるだけである。