『タナトスの子供たち』

タナトスの子供たち―過剰適応の生態学 (ちくま文庫)

タナトスの子供たち―過剰適応の生態学 (ちくま文庫)

後半の議論がずいぶん厭世的だ。

 なぜやおいマンガややおい小説を求めるのかの説明はだいたいわかったが、やおいの始祖たる中島梓もまた相対化の波にのみこまれてしまう。解説を書いている榎本ナリコが中島に距離を置いて感慨を語っているのが印象深い。

 プロへのこだわりということで、中島の本を読みながら小林よしのりを連想した。同世代だし。中島も、やおい同人誌を愛好しつつも、作り手のプロ意識、技術の有無についての感想を抑えることはできないでいる。