『吉本隆明1968』

新書459吉本隆明1968 (平凡社新書)

新書459吉本隆明1968 (平凡社新書)

わかりやすい敵に敵対するやつは、そいつも気をつけろ。転向にたいする態度には階級差がある。芥川のように低い出自をごまかそうとすると自滅する。高村光太郎のように性愛に救いを求めるのも考えものだ。かといって庶民性に居直るのであれば本を読む意味がない。個人がかかえる健全な自立の精神が、すなおに集約されて健全なナショナリズムを形成するのは至難の業なので、運動家というのはいかがわしい。