松本清張

 作家以前は図案家で生計を立てていたらしい。なぜ本格物の推理小説を手がけないかを語るあたり(実はそうでもないとも言っている)、なぜ超虚構なのかを語った筒井康隆とだぶってみえなくもない。清張の「社会派」が受けたように、筒井の「超虚構」も希釈されてノベルスやライトノベルとして発展したのではないか。

 多くの作品題名が抽象的なのは、構想がまとまらないうちに出版社から題名を求められるからとのこと。

 筒井康隆松本清張を対にして語った評論とかあるのだろうか。清張も、図抜けて有名なのは十作ほどではないだろうか。「落差」「葦の浮船」「雑草群落」「地の指」などと聞いて、すぐ清張の小説だと分る人は、ファンだけだろう。