反省の外側

明日に向かって撃て!』を見直すと、ブッチ・キャシディサンダンス・キッドがしきりに牢屋入りを嫌がっていて、おかしい。

 懲役というのは、懲らしめの役というわけで、役は仕事というよりは身分に近いニュアンスだが、なぜ、入牢が懲らしめになるのか。

 することがなくて、反省しなければいけないから。考えるのが嫌だから、アウトローは入牢を拒むのだ。ロー、掟、法律はすくなくともそれを知っていなければいけない。頭を使っておぼえておかねばならない。

 行動を禁じられて、反省のみ続けねばならない苦しみは、多くの人が理解できる苦痛だろう。でなければ、罰としての懲役、隔離、監禁は廃れただろうから。

 人が反省を嫌がるのは、それをしたところで過去を覆せないからだろう。教訓を得たところで、それが今後に生かせないことも同時に確定している類の教訓(案外多い)は、人間が保持するにはつらすぎる。それぐらいならいっそ蜂の巣になったほうがいいというわけである。