『スカイ・クロラ』
押井のメッセージをはかりあぐねてる人がいるらしいけれど、単純なハナシで、「君もさっさと大人になって、ティーチャーの側にまわっちゃえよ」ということじゃないの? 私も理解がおぼつかないところがあるけれど、キルドレ同士はいくらセックスしても不稔で、しかしキルドレの女は大人の男に孕ませられるということなんだったら、そういうことになるだろう? いくら生でしても女を妊娠させない男、若いしパイロットだから収入もいいとなったら、最高のお得意さんであって、戦闘で死んでないか確認しに車を飛ばすのも、わかる。まあ、セックスも煙草も、子供がやってたって、もう注意できないもんな(したいとも思わないし)…。この作品で、押井は素直に「現実」を描いているのだ。勉強なんてはなからしてない。煙草もやった、セックスもやった。ずーっとゲームで人を殺してる。『スカイ・クロラ』で描かれているキルドレは、現実の子供たちそのものだ。
草薙の長広舌や函南のひとりごとは、よくある「ガキの屁理屈」で、その論理は彼らが誰かから与えられた彼らの日常を全うすることを性急に肯定していて、つまり彼らは自分がキルドレでなくなる可能性を考えることだけを恐れている(子供が大人になることだけを恐れているように)。そして、それがいつもの押井調なのだから、押井は自分のやってきたことが社会に対するただの甘えであったことを認めたというに等しい。すごい。この作品は押井守の『もののけ姫』だ。
つまんないんだったら、そんな学校なんてやめて、働けば? と押井は少年たちに言ってるんだと思う。私も、それに、賛成。
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