篠田正浩先生

今まで映像にすることができなかった失われた空間が再現でき、失われた時間を取り戻せる。こんな楽しいことはない。デジタル世代はこれをフルに使って新しい文化を作ってほしい。私はその前衛かもしれないが、私だけじゃ、寂しいよねhttp://www.nikkansports.com/ns/entertainment/interview/2003/sun030615.html

この言葉にはびっくりした。押井守の映画観に近いのではなかろうか(どちらもデジタルを使い倒してるクリエーターだ)。

ついつい、私たちは映画の映像と物語をいっしょくたにして監督の技量、人格をはかってしまうが、それは錯覚なのである。物語も演出も個人の癖が抜きがたい、いや、あってナンボのものなのだが、映像は実は無個性なものなのだ(カメラという機械が光線を記録するだけ)。その配列を編集で調整することで「映像演出」が成り立つ。舞台収録の映像では、映像演出を声高に主張できないのと、ちょうど逆のことが映画でおこる。

CGだって人間が入力したから人工的かというとそういうことはない。ただ演算の結果が画面に表示されているだけなのだ。