名乗りをあげること

悲劇の誕生』を読んでる。さすがに20代の人間の文章という気はする。着実に著された『日本アホ・バカ分布考』を読んだ直後だけに、若きニーチェの断定の連続にはくらくらする。


ほんとかどうか調べてないので知らないが、しかしニーチェは優秀な文献学者で師匠からも目をかけられていたらしく、なのになぜこの『悲劇の誕生』なのかという疑問がわく。とはいえ、まあこれで名乗りをあげれば目立つだろうという思惑があったであろうことは想像がつく。


悲劇の誕生』から100年ほどして、極東の国でもこのような奇手によって目立とうとすることがはやった。ニュー・アカデミズムというのも気恥ずかしい。


根拠をもうけたうえでの節度というものに我慢がならないという気持ちはわかるんだけどね。


そういえばクリストファー・ノーラン版のバットマン怪人たちは、名乗りをあげないのだった。ラーズ・アル・グールだけは名乗っていたかな? おとといバートン版の『バットマン』を見返したら、ジャック・ニコルソン演じるジョーカーが豪快にテレビジャックしていて感心した。ヒース・レジャーのジョーカーはシコシコと、DVカセットを郵送するか映像データをメールで送信するかしているというのに。