殺人を描かないヒッチコック

『サイコ』の、あのジャネット・リーが浴室で殺されるシーンを、ああもこまぎれのショットで描いた理由をかんがえてしまうのだが、『フレンジー』でも、それをくり返していたし、きっと、殺人そのものは描いてないですよ、という、ヒッチコック一流のなぞかけなんだろうな。役者の演技を脚本にしたがってつないだだけですよ、というような。


『サイコ』の、階段の踊り場でアーボガストに襲いかかる犯人を上からとらえた、あの引きの構図はなかなかショッキングなのだが、ナイフがふりおろされる瞬間に、画面は別の構図にかわる。