『誰かが私にキスをした』

外人監督で、日本国内が舞台で(ロスのシーンがちょっとある)、清水美砂が出る、ということで『レインフォール』をちょっと連想した。『はりまや橋』は見ていない。

面白かったのは、東京のアメリカンスクールが舞台で、主人公にはアメリカ人の恋人がいたのに、それを振って、彼女は日本人といっしょになるのだ。そういう話をアメリカ人が撮っている。なんだか意味深だ。トーキョーがアメリカ人にとってもおなじみの都市になりつつあるようで(といってもこの映画の屋外は、たいていはブルーバック合成された風景なのだが)、こういう風合いの東京は『バベル』のころからはじまったのだろうか。『ジャンパー』の東京も、ふつうの消費都市という感じだった。

女が主体的になると、結局は堅実で保守的な男(なにしろ肺がつぶれるまで働く男なのだ)を選ぶという話なのか。マツケンがじつは引き立て役だった、という展開は、たしかに日本映画ならざる物をみている気がしたのである。

赤っぽい画調は、褪色したフィルムの感じを狙ったのか。ちょっと面白かった。