そんなのおかしくないって、小谷野さん

岸田秀もそうだが、母を憎んでいる人がフロイディアンになるのはおかしい。http://twitter.com/tonton1965/status/13603060165

岸田の養家では、義母のほうが家長的だったことくらいは、小谷野さんも知っているんでしょう?

筒井と父親の関係は、筒井自身がわりと冗談めかしてなんども扱ったから、筒井が作家になる前に実際に父親との間に葛藤があったとしても(同人誌の費用を立て替えてもらったり)、筒井が父親を憎んでいたというのは、ちょっと違うんじゃないかと思うが。あの世代は少年期に終戦でもって倫理の激変を被っているから、一概に言えない…。

ああそっか「妻の惑星」ってあったなあ。「筒井康隆のつくりかた」だったかに、「康隆を調査した興信所の報告書にくってかからんばかりに反論する光子のシーン」なんてのもあった。筒井は妻を得てから事後的にエディプスコンプレックスを演出したのではないか。父の蔵書や母の着物を売り払って映画を見ていた少年に、エディプスコンプレックスなど存在しなかったのではないかと思うのだが。そういえば、小此木啓吾核家族に妙にこだわっていたことも、この世代の傾向として思い出す。筒井や小此木は、(当時としては)それほど問題があったわけではない家庭に生まれて、しかしフロイトに心酔するあまりにいろいろ試行錯誤した「フロイト観念派」とでも呼ぶべき存在なのではなかろうか。岸田秀は、すくなくとも自分の神経症緩解したのだから「フロイト実践派」である。