怒りや不安が複合する

金属バット殺人事件

金属バット殺人事件

ねじまき鳥クロニクル』にモチーフとして出るバット殺人(そういえば『イングロリアス・バスターズ』もバット殺人だったな)。私が幼児の頃の事件だったので梗概を知りたくて読んだのだが、この本はよく出来ている。父親の挫折まで取材しているのはえらい。

「登校拒否があり、家庭内暴力が出てきた。この十年くらいの現象です。これからは次々に新しいものが出てくるでしょう。校内暴力があり、新しいタイプの家出があり、そしてもっともっと増える。今からもう十年もたったら『あのころはまだよかったなあ』ということになるのでしょうね」(佐瀬稔『金属バット殺人事件』草思社 1984年刊 224ページ)

なぜと問うのはあまり意味がない。複合(complex,コンプレックス)の果てにたまりにたまったものが爆発するのだ。