星新一の伝記番組


ウィキペディアには「98.05.29」の放送とあるから、最相葉月が取材をはじめる直前のころのものだ。作品「鍵」が重要モチーフになっているなど最相の評伝と共通点がある。

それにしても、性や殺人を抑圧して人類絶滅については語るなんて、いやはや筒井康隆よりよほどフロイト的な人物だったんだなあ(フロイトタナトスを考えだすのも第一次世界大戦を経てからだ)。村上春樹は当初は星新一のような作風だったのに、ほどなく性と暴力を描くことに向かう。星新一も、村上春樹も、受容のされ方があまりに似通っているのだ。大正期の稲垣足穂なども、そうだったのかもしれない。