『青春残酷物語』

『日本の夜と霧』と間違えて借りてしまった。でも、見ておいてよかった。主人公に年上の愛人がいるあたり、ちょっと『卒業』を連想する。大島自身は、川津祐介の主人公と渡辺文雄の町医者の中間の世代(28歳)から状況を眺めている。

堕胎って殺人だから、若者たちは自分たちの自堕落に生贄をささげたのだと、物語を解釈することが出来る。あるいは、川津演じる主人公は佐藤慶のやくざに殺されるのだが、自分たちが死ぬことに場違いなところから理由を見つけ出した、要するに自分の人生から解離したのだと解釈できる。

豊かになりはじめた時代に語られた自殺願望(この時点で、サリンジャーの『ライ麦畑』は邦訳されていたりもする)は、この後、いわゆる全共闘世代を魅惑する…。