プライドに命をかけるということ

そんなに簡単に矜持だなんて言葉を口にしないほうがいいと思う。『ミリオンダラー・ベイビー』で、プライドを賭けてリングに赴き、あっさりと鼓膜を破って敗北し、簡単に首を折って敗退する女たちを見たすぐあとには、そのようなことを思う。どこだって、リングだと思えば、リングのようなものだ。言葉はさんざんに思われ、書かれ、読まれしていくうちに消えていく。大局的には、すべての言葉の書き手は敗者に等しい。その言葉を吐いて寿命が縮むことがあったとしても、これを諾うことができるものだけが文字を連ねるべきだ。