『13日の金曜日』

母親の幻影にとりつかれた息子の映画である『サイコ』を、ひっくりかえしただけなのだが、これが出るまでに20年かかったのが面白い。『サイコ』のあとにアメリカ社会が激動の時期に突入してしまったので、要素を組み替えただけの単純な企画が出るまでに、けっこうな遠回りを余儀なくされていたのだ。ジェイソン君はほんとに生きていた、という方向にシリーズがシフトしていくのも、オカルト文化を経験した1980年代アメリカ映画ならではの展開だ。