ルパン、ルパン

怪獣ブームがあって、妖怪ブームがあって、第二次怪獣ブーム、スポ根ブームがあって、それぞれ特撮番組、アニメ番組などがヒットしていたが、旧ルパンはさすがに早すぎた。なにしろ、旧ルパンがはじまった時点で、鉄腕アトムからまだ10年も経っていなかったのだ。あの独特のさびしげでうつろな間合いは、かえって『ムーミン』『まんが日本昔ばなし』などに宿って、あまり一般化することがなかった(そのムーミン大隅正秋だったのだが。そして沖島勲…)。

旧ルパン後半の宮崎駿特有のドタバタ劇を適当にセーブしたのが新ルパンのヒットの理由だろうか。ヒットしたためにかえってPTAの目にとまってワースト番組に指名されるルパンであった。

清順グループのテイストも、モンキー・パンチらしさも抜いてしまうことでシリーズがヒットしたのは皮肉なものだ。山下毅雄の音楽も、1980年間近の音楽としてはヒップにすぎたかもしれない。よりウェットな大野雄二の音楽がしっくりきたのだ。当時すでに凡庸な意匠になってしまっていたオカルトに甘かったあたりも、宮崎が新ルパンになじめなかったポイントとしてあるのではないか。