無意識万能論と行動主義

ポルターガイストの説明に、未成年者の無意識のなせる技というのがあったけれど、コリン・ウィルソンはこれに疑義を呈する。まあそうだと思うしかない。私は、大友克洋の未完の超能力短編「Fire-ball」や、『童夢』など、いま読むと絵がうまいだけにかえって白けてしまう。ポルターガイストについては、ウィルソンは霊のしわざによるとする説明の方がまだ説得力があると考える。

超常現象を無意識が起こすという説明に説得力を感じる人は超能力研究にむかい、霊を信じる人はスピリチュアリズムを深めた。

行動主義の心理学が20世紀に勃興する。創始者のひとりであるワトソンは、うまれた赤ん坊をどのような人間に育てることもできると豪語したが、彼のなかには事実による宗教への挑戦という意図もあったのではないか。

ナチズム、スターリニズム、そして小川徹によればケネディによって牽引された冷戦時代の「新しい」アメリカの政治思潮もナチズムと同類のものだそうだが、これらの思想は、愚直に行動主義の心理学をそれとは知らずに追求していたのだな、という印象がある。小川は、『影なき狙撃者』などに描かれた、政治目的による洗脳という行為にいたく感銘を受けたらしい。