要するに人間原理
- 作者: コリンウィルソン,Colin Wilson,関口篤
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 1992/10
- メディア: 単行本
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まえがきを息子のダモン・ウィルソン(デイモンでいいと思うのだが…)が書いていて、ウィルソンとマーティン・ガードナーは当初は文通などして友好的な関係だったらしいが、ウィルソンがオカルトへの興味を深めるにつれ関係は険悪化したらしい。
しかし、おもうのだが、例えば100メートルを11秒で走る人間など、大学や高校の運動部にはいくらでもいるだろうが、人類全体でみれば特殊技能である。いわゆる霊能力というのも、よほど強力な人間的魅力の一種でしかないんではなかろうか。
超能力には眉をしかめる普通の人も、人と人とのあいだに相性があることくらいは認めるわけだが、この相性だって、運命のように実体がない。しかし、厳然とあるのである。
夫婦などが、何も口をきかずに相手の欲することがわかることも、低度の超能力だとウィルソンはかんがえているらしいが、西洋人の杓子定規だなあと思うのである。
人間原理というのが、そもそもの大ウソだよなあと思うのである。美人は3日で飽きるというのはブスの自殺を防ぐためのウソだというのが村上龍説だが、人間という概念も、各個体の豊富かつ煩瑣な差異にいっとき目をつぶらせるための方便にすぎない。人体もまたモノであってモノに内在するスペックを外部に行使するだけだ。日本人は、とか、中国人は、とか、ようするに複雑な話を回避するための方便なのだ。