病気としてのランキング癖

もちろん自我は必要悪であり、持病のようなものである。河野雅治氏は、プロに徹して機械のように日本政府の宣伝活動を行わなかったがゆえに、菅直人から「罷免」されたのである。「私はあまりロシアに詳しくないので」というのは傑作である。なにしろそこは「私」について語る場ではなかったのだから。自我は必要悪であって、それに固執すると、ほら、身を滅ぼすのである。「専門バカ」というのは、自我を尊重する立場から正反対の者へ投げられた罵言にすぎない。

ふと思ったのだが、私にはランキングの癖がない。渋谷に勤務するようになって、文化村通りを行き交う消費者たちが、いかにランキングに拘束されて往来を通行するかを痛感しているところである。もちろん、かれらの言葉には、透かしのように「私私私私私私私私」と刻印されているのである。ランキングにすると、情報も圧縮できるしね(みんな早口なんだ)。