放送と配信

NHKオンデマンドが配信する番組に課金するのを怒る人がいるが、そういう人の頭の中では「放送=放送された番組の内容」という等式が成立しているのだろう。

「決められた時間のあいだに決められた内容の番組を流しつづけること」が放送であって、「享受者の望むタイミングに応じて番組商品を提供すること」は、放送と、つまり「無料」であることと関係ないのだと思うが、「そういう人」はそうは思わないようだ。

なにも実際の番組をいちいち経験しなくたっていいじゃねえか、と思うのである。批評は実物に触れたうえでやってもらわないと困るが、情報を知りたいだけなんだろう? なら新聞やテレビ雑誌に書かれた梗概を押さえておけばいいだろうよと、思うのである。見れなかったら見れなかったでいいじゃねえか。こういうのは、馬鹿正直というのでもない、馬鹿強欲というのか、享楽乞食というのか、いったい何と呼べばいいのだ?

ここにも端境期ゆえの混乱がある。1980年代からの「タイマー録画」に慣れきった大衆が、「放送」と「映像作品」を混同しているのだ。