一盗二婢三妾四妓五妻

「三妾四妓」あたりはうろおぼえだったので「一盗」で検索したのである。それにしても、小島信夫江藤淳坪内祐三も、なぜこの言葉を出さないのか。近代を超克しなよ。

これ、ようするに「ばれたらやばい順」というわけ。家の外でよその家の平安をこわすのがいちばん悪く、つぎに家のなかの平安をこわすのが悪く、家の外に「あるはずがない家」(妾宅)を設けることが三番目に悪く、それにたいして妓楼は「みんなの家」であるにすぎない。この言葉は、いいかえれば、家というものについて表現している言葉なのである。

坪内の本は「(バフチン©)」という表記を見て、ああこれははしゃぎ過ぎだ、と思った。ごくごく平凡なことをもってまわっていっているだけ(たぶん小島の小説のほうも)だと思った。