震災日記

といっても、私の周囲はさしたる被害を受けたわけではない。

じわりと社会のもろもろの変動をうけて、これからゆっくりと締めあげられる方だ。

輪番停電というのも、ちょっと驚くべきことで、現実にたいして私の想像が追いつかない。火力発電所まで止めるのは、要するに火事になった時に消火できないからなのだろうが…。

伝聞のレベルで親類の安否確認は終了した。

昨日は新聞を買って、それからふと思い立って、新宿御苑に入った。家族やカップルたちが憩っていた。空が抜けるように青く、はしゃいだり、水のみ器を夢中になっていじる子供たちにばかり目がいってしまった。

自宅の片付けをする気になれなくて、がらくたまみれの自室でずっとテレビを見ていた。TBSとフジ、テレ東の画面の右肩に「アナログ」の文字が消失していた。

布団の頭のところに、高校の頃のエアチェック・カセットがバラバラと落ちていて、手元のテレコでマーラー交響曲だの、フォレの室内楽など聴いた。劣悪な録音の、ドビュッシーの「序奏とアレグロ」が、なんだか沁みた。