震災日記

交通情報をいちいち取得するのがわずらわしかったので徒歩通勤にきりかえた。

アパートから青山通りへ出て渋谷に向かうだけの道のりである。

青山一丁目あたりの松屋に入ったら、ちょうど私が入ったすぐあとで閉店になってしまった。朝の8時半とかなのに。理由はわからないが、店員は中国人の青年ひとりだけだった。すこし待たされたが、もちろん怒ったりしてはいけないのだということはわかっている。向かいのカウンターに、やはりおなじようなことを考えているらしく、何にたいしてというわけでもなく申し訳なさそうな顔をした男性が、注文したメニューを淡々と待っていた。

渋谷のスクランブル交差点では、あのくどく繰り返される「君に届け」という歌が流されなくなって、個人的には大変よかった。雑踏と会話の音だけが渋谷の谷底に満ちていた。