『るにん』

島流しの島の生活を扱った時代劇。同じ題材をつかった類似の作品があるのかもしれないが、私は時代劇に詳しくないので、とても新鮮だった。

メタ時代劇というか、時代劇らしくない、しかし本当はこうだったのではないかというような時代劇をつくろう、という意志を感じて面白かった。

島に流される女たちは吉原に放火した女郎たち、ということでセックスが主題として扱われる。社会から浮き上がったものとしてのセックスに照明をあてるのだ。あらためて、セックスというのは不思議なものだなあということを、ぼんやり思わざるをえない。

島からの脱走者を密告することを繰り返していた女郎が、惚れた男に影響されてとうとう自らが脱走者になる。松坂慶子の役は、マグダラのマリアということになるのだろうか。イエス役の男は、ちゃんと「磔になる」のだ(このシーンには機智を感じた)。