ニキータ・ミハルコフ

 情緒を刺激する音楽の使用、時間の交錯、暴力、と映画のおいしいところを、ミハルコフは平然とくりだしてくるのが面白い。『光と影のバラード』がユーチューブで全編アップされていたのをつい見入ったが、デビュー作の頃から上述の特徴は一貫しているのだった。ようするにマカロニが入っているわけだ。

 それにしても、『光と影のバラード』には、おどけた荒くれ者が滑り台をいっきにすべりおりるのを望遠レンズで捉えたあと、そのままカットを割らずに前景の主人公たちの芝居に移るシーンがあって、これはあっけにとられた。何テイクぐらい重ねたのだろう。