いろいろわからない

 核燃料は核爆発をおこさない程度のウラン濃度におさえられていて、だから核爆発はおこらない。この知識を根拠にして、たとえば池田信夫武田邦彦を非難した。

 わたしも上述の知識をどこかで読んで、だから武田のいう「核爆発」が不審で、しかし武田教授にたいする信頼もあったから、好意的に解釈しようとして、たとえば溶融した核燃料が、核爆発をおこす程度にまでウランの濃度を上げてしまう可能性でもあるのかな、などと武田説の真意を推し量ってみたりした。

 なぜ事故をおこした軽水炉を冷却しなければならないんだ、という武田教授の発言はもっともだという気がする。核燃料は核爆発しないはずなのだから、メルトダウンさせてしまえば、核反応を起こし切らせてしまえばよかったではないかと。

 しかしまず建屋が吹き飛んでいるから、格納容器や圧力容器はもし無事だとしても、配管のどこかは割れていたのだろう、ということになる。事故当初の御用学者は、建屋の崩壊という見た目は、原子炉本体の破損(という本質)をただちに意味しないのだという解説にやっきになっていた。

 とはいえ、私がどこかで読んだ記事には、核燃料が余熱をもっていたらそれだけで放射性物質を発生させ、そしてもし放射性物質が発生したら、現状では必ず外部に漏れてしまうから、余熱反応を早期に収束させるために冷却しているのだ、ということをいっていた。

 だから、原子力事故の対応についての原則と、軽水炉の設計思想の原則が、見た目に矛盾しているという武田教授の観察は、関係のない事態をむりやりむすびつけて矛盾であると判断しているような気がしないでもない。