長谷川町子と大橋巨泉

ちょうど長谷川の新聞連載がとぎれがちになり、彼女が表舞台から退場するころに、入れ替わるようにして有名人になっていった巨泉である。


戦後昭和を代表する人物など、ほかにもいくらでもいるだろうけれど、とりあえず私が幼少期からその仕事をながめていた二人に再登場ねがって、昭和を偲んでみる気になった次第。


昭和30年ごろから長谷川漫画は皮肉がきつくなって、登場人物がやけに怒鳴ったりしているのが興味深い。たまたまいま手元にある『エプロンおばさん』を眺めていても「バカ」「アホウ」「チキショウ」という表現を容易にみつけることができる。長谷川個人の資質と、時代の特徴がからまりあって、こういうことになっていったのだろう。『エプロンおばさん』は週刊誌連載だったので、新聞の朝刊に連載された『サザエさん』よりも表現の規制がゆるかったのかもしれない。大橋もまた息を吸うように自然に「馬鹿野郎」と言うのがトレードマークだった。