拡張する世界

ムイミさんが円楽(先代)の名を出したので、ふと思い出したのが「わかたけ」である。なぜひらがな表記かというと、子供の頃の私はもっぱら笑点で、大喜利メンバーによって揶揄されつづけるこの「わかたけ」が何のことであるのかまったく理解できなかったからである。


これが円楽が立ち上げて潰した新劇場のことであることを知ったのは後年の話、そのほかにも司会を円楽の前に三波伸介や談志が務めていたことなど、調べなければ知るはずもない。


いまの私は『YOYOCHU』も見ているので、代々木忠がバブル期に東南アジアのどこかの国に文化センターを作ろうとして失敗し、借金をつくった話を知っている。こちらはもうすこし前の話だが筒井康隆井上ひさし小林信彦が、自らのキャリアには例外的な大作『虚航船団』や『吉里吉里人』、『ぼくたちの好きな戦争』を著したのも、時代の勢いを感じるのである。


なんで彼らはああも、自分たちの世界を拡張したのだろうということを思うのである。こういう流れの有力な一支流として、私は富野由悠季ガンダムワールドを眺めているのである。